東電の企業向け料金の17%余りの値上げが発表され、企業からの反発の声が上がっています。
自由化部門である企業向けは政府の認可が必要ないため、値上げを呑めない企業は自家発電が出来ない限り、PPS(特定規模電気事業者)などから購入するか、拠点を東電管区外に移管することを迫られることになります。
しかし、PPSといえども東電の原発が全て停止することなど予想している筈もなく、供給力は直ぐ限界が来ますし、万が一原発が再稼働すれば大幅な余剰を引き起こしかねませんから、設備の増強にも一定の抑制が働きます。
また、日本の東電管区外に移管するにしても燃料費の上昇は全国的な問題ですから、他の電力会社が値上げに追随しないと考えるには無理があります。
残るは海外への移転ですが、タイ洪水の有様を見ていれば、非常時に外国政府や、電力会社が日本以上の働きを期待できるとは思いませんし、第一発電の為のガスや原油は世界商品ですから、世界中どこに居て買ってもさほど変わりません。
結局自家発電にせよ、海外移転にせよ、PPSから購入するにせよ、日本企業全体では燃料と発電装置の調達を避けることは出来ませんし、クリーンエネルギーで賄うには価格的・時間的に無理があります。
ただ売る方はかなりの違いがあり、世界中で唯一余剰感のある米国のシェールガスは極めて安く、同一熱量あたりのコストで比較すれば、原油の100ドル程度に対して約6分の1である16ドル程度だといいますから、発電燃料が欲しい日本がこれを狙うのは間違いありません。
かくして米国はイラン制裁により世界中の燃料需要がひっ迫する中で、自国で余剰感があるシェールガスを高値で売れる条件がすべて整います。(笑)
また先日、安住財務相が約束したイラン原油の早期輸入削減は野田首相が安住大臣の個人的見解などとして打ち消していましたが、正式会談で財務相が約束したことが簡単に覆るはずもなく、米国はイラン原油輸入削減の早期履行を迫ってきますから、日本はこの面からもシェールガスの高値購入を促されます。
結果、日本企業の購入する燃料費の上昇幅は最低でも数千億円から兆の単位と思われ、しかも燃料費上昇は貿易収支の悪化を促進し、結果円安を招きますから、国内に於いては更なる燃料費の上昇が起きます。
安住財務相がガイトナー財務相にしたイラン原油早期削減約束は、まさに「1兆円の勇み足(舌?)」なのです。(ー_ー)!!
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